Quantcast
Viewing all articles
Browse latest Browse all 109

「権利も、働きやすい環境も、努力して勝ち取るもの」ハーバード大学教授スーザンり•ファーさん

「プレジデントウーマン」の読者は30代、40代の女性が多いと聞いています。この年代は、女性の人生において非常に重要な時期です。仕事で重要なポストに就き始め、仕事とプライべ一卜の両立に悩むことが増えます。仕事を辞める人も増える世代です。
でも、とにかく仕事は続けてほしいと伝えたい。子育てなどで仕事を離れてから、また元のような仕事に戻るのは難しいからです。今は、女性が仕事を続けることをサボートする、さまざまな法律や制度ができていますから、それらをめいっぱい活用してください。また、会社にも働きかけ、職場環境を内側から変えてほしいのです。それは、男性にとっても女性にとってもプラスになり、ひいては日本社会のためにもなります。
私は、30歳のときに大学で教え始め、40代の1987年に、現在も勤めるハーバ—ド大学の政治学部に移りました。当時のハーバード大学は、シニアレベルの教授に占める女性の割合はわずかに7%。92年に政治学部長に就任しましたが、学部内に女性の教授が私以外いないという時期もありました。現在は、政治学部のシニアレベルの女性教授比率は、25%になっています。
味方になってくれる人のネットワークをつくろう
私がみなさんにできるアドバイスは、「アライアンスを組む」ことです。男性、女性にかかわらず、味方になってくれる人のネットワークをつくるのです。たとえばハーバード大学には、「女性のための常任委員会(Standing Committee on Women)」があり、私も委員を務めています。ハーバード大学の女性教授で構成されていて、常に女性登用などに関して大学にプレッシャーを与えています。
私は政治学者で、日本の女性の政治參加やリーダーシップなどの研究をしています。日本の女性の権利は戦後、「与えられてきた」とみられることがありますが、実際は違います。女性自らが求め、努力して勝ち取ってきたものです。
80年代には男女雇用機会均等法が実現しましたが、90年代になって経済が低迷し、その歩みが止まってしまいました。せっかく開きかけたつぼみに、冷水を浴びせられてしまったのです。
現在、日本の経営層の女性比率は11%で、アメリカ(44%)の4分の1ほど。もとは両国とも女性比率が低かったのに、これだけ差が開いてしまいました。経済低迷がなければ、もっと改善していたはずです。
しかし私は、今後について楽観的です。日本は少子高齢化が進み、労働人口は減るばかり。女性を労働市場に組み入れないと立ち行かなくなります。安倍政権になり、女性活用が重要な政治課題に位置付けられるようになりました。
安倍首相は2012年12月に1任し、翌年の2月にワシントンD.しで講演をしました。私も客席でそれを聞いたのですが、その講演で一度だけ、女性登用について触れたところ、聴衆に非常に受けたのです。このときの反応に驚き、政策のヒントにしたのかもしれません。
現状を変えようとするとき、海外の例はヒントになります。たとえば、女性參加の先進国は、女性議員の割合が高い傾向がある。女性議員だからといって、必ず女性問題に関心があるわけではありませんが、政治家は目立つのでロールモデルになります。女性の政治參加を増やすことは、女性を取り巻く環境を変えることにつながります。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 109

Trending Articles