「日々の節約は得意でも、10万円、100万円といぅ大きな単位のお金の損得には自信がない……」。そう思っている女性も多いのでは? ここではその「誤解」を解き明かします!
女の人は大きなお金のことを考えられない、だなんて、とんでもありません。証券会社で25年にわたって、お金にまつわる仕事をした経験から、また、行動経済学的な観点から、それは大きな誤解、偏見だと思います。
男性はロマンチスト女性はリアリスト
まず一般的な傾向として、男性はロマンチストで感情的、女性はリアリストで論理的。数字を扱う計数処理に向くのは本来、女性です。
海外旅行に行ったある夫婦の話です。夫が象牙の置物を買おうとして、ある店員に5万円とふつかけられました。大阪出身の夫は「ナニヮ商人をなめたらあかんで。5万円なら5分の1が相場だろう」と1万円に値切つて、得意げに妻に見せました。妻は「同じものを売つているお店を何軒か見たわ。値札は3000円から1万円くらい。実際はl000円がいいところね」と、同じものを1500円で買っていたのです。
恥ずかしながらこの夫とは私なのですが、失敗の原因はもの自体の価値ではなく、最初に示された5万円をもとに買値を考えてしまつたことがひとっ。行動経済学ではこれをアンカリング効果といいます。妻は元の価格ではなく、もの自体の価値から1000円だと考えたのです。女性のほうがアンカリングに左右されない傾向があります。
2つ目の敗因は、価格調査不足。妻は何軒か見比べていました。このように女性にはものの真価を見抜く 眼力があり、買う前に比較検討する習慣がある人が多く、お金を扱うのに適しています。
さらに、女性は集中しすぎて周りが見えなくなったりせず、複数のことに同時に注意を向けるのが得意です。これはセレクティプ.アテンション.テ-ストという認知、七理学の実験でも実証されています。たとえば、「オレだよ、事故に遭ってお金が要るからすぐ振り込んで」と電話があっても、”事故で大変”という情報と”声色があやしい”という情報を同時に考えられるので、女性のほうが詐欺に遭いにくいようです。
小銭を探せる女性は大きなお金の扱いも得意
女性は買い物をすると、なるべく小銭を探して出します。男性は一万円札をポンと出すことが多い。そのほうが太っ腹でいい気分です。しかし、一万円札は一度崩すとすぐに使つてしまいがちです。なぜなのか。これはメンタルアカウンティング(心の会計)という経済学の考ぇ方で説明できます。心の会計では、同じお金でも、一万円札は”使いづらいお金”と仕分けし、千円札は使つていい日常のお金と仕分けしてしまうから、一万円札は崩すとなくなるのです。女性は、一万円札のままのほうが節約できると知つていて、なるべく崩さず小銭で払うのです。
さて、それでも大きなお金は苦手と思う人はいるかもしれません。本来、お金には大きいも小さいもなく、問題は捉え方を勘違いしていることです。
ポイントは2つあります。ひとつは、お金を「率」ではなく常に「金額」で考えることです。
100万円の預金がある人が、預金金利が0.03%で安すぎるので、投資信託を勧められたとしましょう。その投資信託が、仮に、値上がりも値下がりもしなかったとしても、毎年「信託報酬」という名の手数料が安いものでも年間0.2%ぐらいかかり、多くは購入手数料もかかります。つまり、毎年2千円以上ずつ引かれ、おまけに投資信託は値上がりする保証はありません。預金は1年に300円しか利息がつかないから損だとは、簡単には言えないのです。これは率ではなく、金額を考えれば自明のことです。
また、2つ目のポイントとして、必ず、売り手の立場に立って物事を考えてみることです。自分が「儲かる」商品を勧められたら、相手の側に立つて、どこで儲けるつもりなのか想像してみましよう。
消費者だけが得する商品など、絶対にありません。入会無料で人を集めている場合は、誰かをカモにして高額商品を買わせることで元をとっているなど、必ず裏があるのです。
最後に小さなお金も「大きなお金にする」ための方法を伝授しましょう。古今東西、財をなした人は、毎月一定額を強制的に預金し投資しています。天引きや口座のサービスで、強制的に毎月一定額を積立預金.投資にまわしましょう。これがいずれ「大きなお金」になります。もう「大きなお金を考えられない」なんて恼まなくていいんです。